【応援メッセージ :vol.01】市川 文彦(いちかわ ふみひこ)さん

 去る(2020年)9月16日(水)~22日(火)までの1週間、池袋西武本店 地下1階 酒売場にて、「三千櫻(試飲はないけど)販売会」が行われました。岐阜中津川で醸した最後の酒が買えるとあって、連日大勢のお客様にお越しいただき、最終日を待たずして品切れ銘柄もチラホラ・・・そんな中、売り場を訪れた市川文彦さんに、三千櫻の酒を愛する“呑み手代表”としてお話を伺いました。


ーー 市川さんはよく日本酒を飲まれるんですか?

 日本酒に限らず、お酒全般何でも飲みます(笑)。おかげさまで晩酌も、ほぼ毎日しています。でも正直言って若い頃は、日本酒にあまり興味はありませんでした。母方の実家が酒どころ新潟ということもあり、当時、親戚のおじさんたちと日本酒を飲む機会は多かったのですが、飲んでいたお酒は、たいして美味しいと感じなかったんです。

その印象を劇的に変えてくれたお店がありまして・・・かれこれ9年近く前のことになりますが、東京曳舟/押上にあった「ごでんや」さんというお店です。店主にして“燗付け師”を名乗る五嶋慎也さんが付けてくれた燗酒を飲んだ瞬間、自分の中で日本酒の価値グラフが急上昇したのをよく覚えています。それからは、居酒屋さんではもちろん、自分でも晩酌用に色々な日本酒を買って試してみるようになりました。
 

ーー 三千櫻のお酒とは、どちらで出会われたのですか?

 その「ごでんや」さんに何度か通ううちに“呑み仲間”ができまして、その中のお一人から「三千櫻という岐阜の小さな蔵元さんの会があるから一緒に行ってみない?」と誘われたんです。錦糸町の「海鮮居酒屋MARU(マル)」さんというお店での会でした。
 
いわゆる「蔵元さんを囲む会」は、初めての経験でした。その日は、原料米や精米歩合、製法などの違うお酒を8~10種類くらい並べ、お料理に合わせてそれぞれを味わったのですが、まず三千櫻の酒が「いくら呑んでも呑み飽きない!」ことに驚きました。同じ蔵のお酒ばかりを、これだけの数、一気に味わうのは初めてでしたが、比べてみると、それぞれ違ってみんな美味しい。しかも「ずっと呑んでいられる酒」は、飲兵衛にとって最高のお酒です。
 
そこで社長杜氏の山田さんにも初めてお会いしたんです。かなりインパクトのあるビジュアルでしたが(笑)、彼が下戸であることにも驚きました。「お酒を飲めなくてもお酒って造れるんだ」・・・それからほどなくして、自分が三千櫻の酒造りを手伝わせてもらえるようになるとは思ってもみませんでした。出会いっておもしろいものですよね。
 

 ―― 中津川の蔵にお手伝いに行かれていたのですね?

 はい。かれこれ5~6年前くらいからになるのかなぁ。例の“呑み仲間”でお手伝い班が結成され、初回はインフルエンザにかかってしまって参加できなかったのですが、翌年からは毎年、2月の週末のどこかで蔵仕事の手伝いをさせていただくようになりました。
自分はサラリーマンなので、あくまで本業に支障のない範囲でのお手伝いではありますが、日本酒を造るって、こんなにも手間がかかるものなのか。特に小さな蔵では、「人の手」でやっていることも多いんだなぁと、感動を覚えましたね。呑み手としては、もっと大事に味わって呑まなくちゃと!



―― 蔵ではどんなお仕事をされたのですか?

 様々な仕事を経験させてもらいました。それこそ、麹室にも入れてもらいましたし。ズブの素人である自分が、洗米の浸水時間を測ったりもしていたので、逆に「いいのかな?」と、恐縮してしまう場面もありました。



 
三千櫻さんは、自分にとっての“初めての日本酒蔵”で、しかもこんなに濃い関わりをさせてもらっているので、すでに半分、身内のような感覚になっています。一人でも多くの方にこの美味しい酒を味わってもらいたいですし、もっと全国に“三千櫻ファン”を増やしたいです!
 

―― ところで、今日は何を買われたのですか?

 家の冷蔵庫のスペースにも限りがあるので、迷いに迷って本日はこの5本です。



―― この中で、市川さん的な「ベスト1」を決めるとしたら?

 うーん、もちろんどれも美味しいんですが、やっぱり「地酒SP」かなぁ。料理を選ばす、毎日でも飽きずに呑める、晩酌には最適です。華やかなお酒もいいですが、最終的には「長くゆっくり味わって呑める酒」に落ち着いちゃいますよね。年齢も40を超えたせいかもしれませんが(笑)
 

―― ちなみに、「北海道移転」を聞いて、どうお感じですか?

稼働中の日本酒蔵が移転するなんて、おそらく前例がありませんよね? 正直、最初はかなり驚きました。特に日本酒造りにとって「水」が変わるってことは、味にも相当影響するはずですから、山田さんのチャレンジ精神とその意気込みには敬服します。
でも、考えてみれば、山田さんはあの「メキシコ」でもお酒を醸した経験の持ち主ですから、北海道なんて近いものかな。メキシコで造ったお酒も呑ませていただきましたけど、普通に美味しくて、感動しました。
 

―― 最後にひと言、「応援メッセージ」をいただけますか? 

「酒は地のもの」です。新天地、北海道東川町の土地に根付く酒造り、頑張ってください!
 
東川町は、旭川空港からほど近いと聞いているので、東京から行くには、かえって地の利がよく、遠くなる感じはあまりしていません。必要であれば、また手伝いに駆け付けますよ。
 

―― 本日は素敵なお話をありがとうございました!


聞き手・執筆:三千櫻応援団(みちざくラー)越谷姉妹